2014年のモンテカルロで開催された、「バックギャモン」の大会として世界でもっとも権威のある「世界選手権」で、日本人女性として初めて優勝したスゴい人が登場する。
日本ではあまり馴染みのない「バックギャモン」であるが、世界での競技人口は3億人を超える。
「西洋のすごろく」と紹介されることが多いが、実は、知略をめぐらせることから囲碁や将棋に近い競技であり、チェスと同様にコンピュータとの対戦なども頻繁に行われている。
プレイヤーのほどんどが男性であり、大会でも女性参加者は全体の5%未満。
そんな中での優勝はとても困難な道であった。
しかし、彼女が乗り越えたものはそれだけではない。
世界チャンピオンを目指してすぐに、彼女は病に倒れる。
病名は「ガン」。
しかも、何もしなければ余命が1年と言われるほど重い病状であった。
治療を続けながら勝ち取った世界トップの称号。
どのようにして彼女は成し遂げたのか。
さあ・・・バックギャモン プロプレイヤー矢澤亜希子様の登場です!
「泣いてる時間を努力に変えよう」
バックギャモンとの出会いは学生時代、旅行先の海外でした。
帰国後、ルールを調べてネット上で遊んだりしていましたが、 実際に人と対戦出来るお店に出かけたところ、 後に日本人初の世界チャンピオンになるプロプレイヤーの望月正行さんと 運命的な出会いがありました。
プロとプレイをすることで、初めて戦略性や深みを知りました。
半年後には、世界レベルを観戦に行ったラスベガスの大会で初級に出場。
正直なところ、初級クラスの選手は弱いと感じましたが、運悪く準優勝。
この悔しさから、本格的に競技としてバックギャモンにのめり込み、バックギャモンを始めて1年後には日本タイトルを獲得しました。
日本での大会の数も少ないので、必然的に海外へも遠征。
大学に通う傍ら、契約社員として海外遠征のための資金を稼ぐかなりハードな生活を続けていたので、身体を壊してしまい、一旦競技から離れました。
しばらく経ったときに、研究会仲間である鈴木琢光さんが
世界チャンピオンになったんです。
医師の激務と両立させつつ達成した仲間の偉業。
この時、「体調不良を理由に何もしないわけにはいかない」と競技に戻る決心をしました。
その矢先、「ガン」であることが発覚。
でも、一度自分で決めたことはやり遂げたい。
そこからは、闘病生活をしながら競技に出続けるという生活を始めました。
治療のせいでホルモンバランスが崩れ、抗がん剤の副作用もあり、まともな思考が出来ない。
それでも何とか結果は出し続けました。
抗がん剤治療が終わったのは、2013年の9月。
それからは武者修行として、ニューヨークのストリートで対戦したり、ロスやサンフランシスコのバックギャモンクラブの道場破りを続け経験を積み、ついに今年の世界選手権で優勝することが出来ました。
続けていればいつか優勝できただろうとは思いますが、「命の期限」を意識したことが結果につながったのではないでしょうか。
どんな状況であっても、とにかく自分に出来るプラスの行動をする。
そのことが大事なのでしょうね。