小さい頃は親が経営者で裕福な暮らしをしていたが、倒産を機に貧しい生活を送ることになった。
お金への執着心から飲食関係の会社を営む経営者となり、お金を求める人生を歩むことになる。
しかし、そんな人生があるきっかけを元にして180度転換する。
「障がい者が自立した生活を送れる社会を作りたい。」
その想いの中、民間と福祉という相反するものが融合する空間作りに動き出した。
彼が障がい者支援に目覚めたきっかけとは?
さあ・・・株式会社アップルファーム代表取締役 渡部哲也様の登場です!
「福祉と民間の融合」
私が障がい者福祉について考え出したのは、義理の弟が交通事故で障がい者になってしまったことがきっかけです。
年老いた77歳の親が面倒をみなくてはならないという現実。
いずれ弟は、母親が亡くなったら自分自身の力で食べていかなくてはいけなくなる。
自分にも何かできないかと悩み抜いた答えが、障がい者が自立できる環境を作るということでした。
それまで食に関わる会社を経営してきたこともあったので、障がい者をたくさん雇用できるレストランを仙台のはずれに作ることに決めたんです。
周りの人からは、そんなに障がい者ばかり雇ってうまくいくはずが無いとか立地が悪いとか色々と言われましたが、私は障がい者が自立できる施設を作るんだと固く心に決めていたのです。
レストランをスタートした当初は、福祉と民間の融合という部分が本当に難しかった。
共存している例もほとんど無かったですし。まさに手探りという感じでした。
サービスや味を追求して障がい者の人に業務を任せようとすると、福祉の業界から雇った人からは、社員に求めることが「それは障がい者に対して厳し過ぎる」と反発をされて辞めていったり、飲食の業界から雇った人からは、入場制限、ランチだけの営業、休憩が多いなどのレストランは経済的にうまくいかないと反発をされました。
店はバラバラで、崩壊状態が1、2ヶ月続きました。
そんな中でも働いている障がい者の人たちは、
「辛いけど、やりがいがあって楽しい。」
と誰一人辞めなかったのです。
障がい者の人は自分に価値が無いと思っている人が多いです。
腫れ物のように扱われたり福祉施設に行けば退屈な作業ばかりさせられたり・・・
だから、お客様から喜ばれたり、従業員から必要とされる経験を体験し自分の生きる道を見つけた瞬間に、ぐーっと伸びるんです。
これは人間誰でも同じですよね。
私は、このレストランは
『障がい者が生きがいを作れるレストランにはなれるはずだ』
と信じていました。
この世界観が成長すれば、世の中にきっと受け入れられると考えていたのです。
レストランは口コミで広がり、徐々にお客さんが増えていきました。
お陰様で毎日予約で一杯の状況です。
今は、新たなプロジェクトとして仙台にひとつの街を作りたいと考えています。
レストランや料理教室があって、緊急の時は避難所にもなるように計画しています。
復興の現場では、雇用の場を作らないと働く生きがいを失った人の自殺者が急激に増えているのです。
この街を作ることが、生かされた我々の使命なのだと思います。