35年前。スポーツと言えば気合と根性。楽しむということが許されない雰囲気の中で、氷上に笑顔で現れ話題となった女性がいる。
日本フィギュアスケート界ではそれまでタブーとされてきたことを次々と行い、日本人女性として初めて世界の舞台で表彰台に上った人がいる。
このスゴい人!がいたから日本女子フィギュアスケートが世界レベルで戦えるようになったと言っても過言では無いだろう。
さあ・・・元オリンピックフィギュアスケーター、渡部絵美様の登場です!
「Emi Smile」
スケートを本格的に始めたのは8歳のころ。
1972年の札幌冬季オリンピック、アメリカのジャネットリン選手を見て憧れを持ちました。
9歳のころからアメリカに留学し、12歳から競技会にデビューしました。EmiSmileというのが話題になったのはこの頃からですね。
当時、日本ではスポーツは辛いもの、気合と根性でやるものという考え方が一般的だったので、私が笑顔で演技することに疑問の声もありました。
妬みや僻みが多く、私のやることに否定的な意見が多かったですね。私がハーフであることや海外生活が長いことから日本代表の立場に否定的な声すらありました。今振り返ると私は逆風に強かったと思います。常に強くならなきゃって思っていました。
過去に日本人がフィギュアスケートで表彰台に上ったことがないのだから、これまでにないことにチャレンジしないといけないと思っていました。
スパンコールをまとった派手な衣装も着たし、チャレンジすることの少なかったダブルアクセルも飛び続けました。表彰台を期待されながら、結果が出ない期間が5年ほど続きましたが、新しいコーチのアドバイスで、『自分のために滑る』という意識に切り替えスケートと向き合うようになりました。
それから2年。念願の世界選手権で表彰台に上がることができました。周りに何と言われようが自分の正しいと思うことを貫く強さも大切なのではないでしょうか。
今は情報が昔よりも豊かで何にでもチャレンジできる環境があると思います。
若い人には『これだ』というものを早く見つけて、失敗しながらどんどん体で覚えてほしいです。