もし、あなたが・・たった14歳の時に、これからの人生を全て決める決断をするとしたらできますか?
人間国宝でもある祖父から偉大な名前を受け継ぐ。
そのプレッシャーをはね除ける如く、厳しい稽古に耐える日々。
家系として必然的に天命を背負い、生きるとは?
さあ、三宅藤九郎様の登場です!
はじめまして。十世三宅藤九郎です。
「三宅藤九郎」家は、ほとんどの方はご存知ないと思いますが、600年の歴史を持つ伝統芸能
「狂言」の世界では、名人の家柄として有名な名跡です。
14歳の時に、先代から指名を受けて跡を継ぎました。
中学生の、しかも女の子が名跡を継ぐというのは前代未聞の出来事だったようです。
ただ当時の自分には、周りの反応は全く気になりませんでした。
あの時も今も、自分にとって一番大切なのは「一人の狂言師として、どこまで芸を極められるか」
名前ももちろん大切。代々の三宅藤九郎が高めてきた名に恥じないように、という思いはあります。
けれども、例えば海外で公演をする時、日本の限られた世界での看板の大きさなんて、誰も気にしません。
どれだけのパフォーマンスをみせられるかが勝負ですから。
そんな自分を支えてくれるのは、父である和泉流の十九世宗家がつけてくれた、厳しい稽古のひとコマひとコマであり、全てです。
父は狂言界でもスパルタで有名な厳しい師匠でしたが、相手が誰であっても、100%の力で教えていました。
「その時の自分の100%で返せ。それが礼儀だ。」と言われました。
最初から同じように上手くはできなくてもいいのだと。
相手の100%を受け止めて、自分の100%を出せる人間はちゃんと成長するのだと、教えてくれました。
舞台の上だけでなく、いつでも100%で人や物事に向かい合いたいと思っています。
自分の100%を、日々、超えていくために。