【則岡 野野】決死のダイブで消防総監感謝状を贈呈され水難事故の危険を伝えるスゴい人

則岡 野野

2001年1月27日の東京、新大久保での韓国人の留学生が、線路に落ちた人を助けようとして電車にひかれてしまった事故、を覚えている人も多いでしょう。人の命が自分の目の前で危険にさらされていたときどうしますか?今日の男は、先月、6月8日に川でおぼれる人を助け、消防総監は感謝状を贈呈した。ニュースは、彼をヒーローに仕立て上げた。しかし、日刊スゴい人!にだけ語ってくれた彼の心の葛藤。
さあ、則岡野野(まさおかのの)さんの登場です!
「僕をヒーローにしないでください」
私は、フランス人と日本人を両親にもち、日本人として育ちました。職業は、システムエンジニア。911の事故を見たときはいても立ってもいられなくて世界を見たくなり、NPO活動としてアフガニスタンにも出向いた。
先月、6月8日の午後9時、いつものように荒川の土手沿いを走っていた。週に2回のランニングのコース。辺りは真っ暗。そんな中、近くをはしる首都高の車の光で水面が反射して何かが見えた・・・。“人がおぼれている!”誰かに知らせる!?どうする!?周りを見渡すと、民家もなく、ランニングの途中で携帯もない。そう思っていたら、5人くらいの高校生の集団がいた!“こっちに来てくれ!”高校生たちが駆け寄ってきたが、何をどうして良いのかパニックになりそう・・。自分は、相当なペースで長距離を走っている最中で体力もままならない。かといって、自分よりも若くて未来ある高校生を飛び込ませるわけにもいかない。“自分しかいない!”怖かった。決断というよりはほかの選択肢が思いつかなかった。叫びながら、川に飛び込んだ。そして、すぐさま、自分の取った行動を後悔した・・・。川は真っ暗。上から見ているよりも暗い。疲れた体は重いし、やっと、おぼれている人の元にたどり着いた。引っ張れないくらい重たい・・・体が沈みかけた。そして、私は・・・逃げた。ちょうど岸に着きそうな時、高校生が飛び込んだ。そして、私の元におぼれた人を連れて泳いできた。私は手をさしのべ、岸に引き上げた。
これが、ニュースにもなってしまった。消防総監感謝状を受贈した。私の紛れもない救出劇の事実。私が真実を消防署やマスコミに言っても誰一人として、取り扱ってくれなかった。私は伝えたい。“素人の救出でヒーローを生んで欲しくない”本気で死を感じ、逃げ出した私だからこそ水難事故の怖さを伝えたい。結果として溺れた人は助かった。
でも、私は今でもランニングであの事故の場所を走る時は水面を見ることが怖い。人命救助は、容易い事ではないのだ。

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